2014年3月2日日曜日

永遠の0

遅ればせながら「永遠のゼロ」を読んだのですが、本当に久しぶりに感動を覚えました。

最近は、「天地明察」や「マギの聖骨」といった比較的難解な表現の本ばかり読んでいたので、「永遠のゼロ」はスラスラ読めました。恥ずかしいことに「評判のベストセラー」くらいの予備知識しか知らなかったことがかえって良かったのかもしれません。

読み始めて当初は、さして引き込まれることも無かったのですが、途中からグイグイと引き込まれました。もう最後は不覚にも涙が溢れてどうしようもなかったです。私も歳を取り、子の親になったせいか、見事なまでに感情移入されてしまいました。

そして、私にとって本当にタイミングが良かったのは、読み終わって2日後の今日、高山の旭座で映画「永遠のゼロ」のロードショーが始まったことでした。感動冷めやらぬまま、初日の最終で見てきました。

原作はいいけど、映画になると・・・・という映画、たくさん見てきましたが、何だかこの映画は期待出来る予感がありました。ま、例え期待はずれであっても、日本人としての気質が騒いだのか、ゼロ戦の雄姿を映像で見たいという思いと、この秀作である原作をいかに短い時間で再現できたのか、という2点に於いて大変興味があったわけです。

(以下、どうしてもネタバレの要素が出ると思いますので、まだ読んでない方(見ていない方)で読む(見る)予定の方は、以下は読まない方が良いかと思います。また、あくまでも私個人の感想に過ぎませんので、よろしくお願いします。)


結果としては、私にとっては、映画も5ッ星でした^^
本当に、実に久しぶりに、良く出来た映画と出会えたと思いました。

もう泣けて泣けてどうしようもなく、ハンカチもティッシュも持っていなくて、本当に大変でした。あちこちから鼻をすする音が聞こえてきました。

岡田准一さん、良かったですね。実にいい演技でした。また、ゼロ戦乗りの現在の姿を演じた方々も良かったですね。大石賢一郎役の夏八木 勲さんはこの映画の撮影の後、お亡くなりになり、遺作になったようですね。実に素晴らしい演技だったと思います。他、景浦の現代パート役の田中 泯さん、「たそがれ清兵衛」の野武士の役の方ですね。あのようなヤクザな役がハマリ役なのでしょうか。井上 真央さんは、ちょっと子どもとの写真が綺麗過ぎかなと思いましたが、見せる演技だったかなと思いました。先ほど見たレビューだと、三浦 春馬さんの演技がダメという意見を良く見ましたが、私は原作と比べると、彼で良かったのではないかと思いました。徐々に顔つきが変わっていく姿も表現できていたように思います。

1点、私が残念に思うのは、合コンのシーンですね。
あれでは、「特攻 イコール テロリスト」 と位置付けたのは、無知な現在の若者たちという設定になってしまう。原作では、そこの部分は慶子に求婚した新聞社社員の考えであったはずです。戦時中、新聞社(マスメディア)が大きく国民を扇動し、間違ったナショナリズムを植え付けたくだりが映画では表現されていなかったこと、この点は非常に残念に思いました。

ただ、それ以外に関しては、ほぼ原作に忠実に描かれていた、と私は思いました。

あれだけの長編小説を2時間半という枠で収めるというのは、実に難しかったと思います。


私の祖父は二人とも太平洋戦争に巻き込まれました。
父方の祖父はサイパンで死んだと聞いています。まだ私の父が乳呑み児であった時分で、顔は全く覚えていないとのことでした。祖母は美しい人でしたが、再婚せずに私の父と叔父を女手ひとつで育てあげました。ずいぶんと苦労をされたんではないかと思います。あの当時、女学校を出ていたので優秀な人でもあったようです。60歳を過ぎてから独学で英語を勉強し、世界一周の1人旅に出てしまった人です。私が学生の頃、アメリカに一人旅したとき、その頃ハワイに在住していた祖母とハワイで会った時のことを鮮明に覚えています。何となく、戦争の頃の話は聞きづらい雰囲気がありました。私も子ども心に、聞いたらまずいんだ、という気がしていました。今頃後悔しても祖父母は皆亡くなっていますので、すでに遅いです。

母方の祖父も戦争で死にました。場所は忘れてしまいました。そして母方の祖父がややこしいのが、兄が戦争で死に、弟が兄の嫁を代わりに妻にしたそうです。なので、私の叔父と叔母と、私の母は異父兄弟ということになります。(4人中、上2人が兄の子 下2人が弟の子)
ややこしい話ですし、現在においては理解しにくい内容ですが、戦時下においては良くあった話のようです。私の祖父にあたる人は、もともと身体が悪かったようで、戦死を免れたようです。今のflowerー空の色ーの創業者に当たります。

祖父母が元気なうちに、そして父が元気なうちに、もっと私のルーツを学んでおくべきでした。60数年が経ち、戦争は風化し、それを語れる人もすっかり少なくなってしまいました。我が息子は、私が夢中で読んでいる姿を見て、「オレも読む」といって読み始めましたが、第1章まで読んで「オレ、せんそうのはなし ムリ」といって挫折しました。小4では無理もないですね。単行本を買ったので、いつに日か読んでくれることでしょう。

私も、戦争を知らない子ですが、せっかくこのような素晴らしい作品があることを次に教えることくらいは出来るはずです。それが、亡くなった多くの戦没者に報いる行動ではないかと思っています。

そして、1日1日を感謝して生きていこう。今があるのは、ご先祖さまのお蔭ですから。

合掌




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