「虚礼廃止」という言葉があります。
主に大企業などを中心に以前より増えているらしいです。
要は、ムダな儀礼をやめましょう、ということです。世間に広まっているようです。
大きな企業にもなると、従業員の数も数百、数千人になります。年賀状を始め、お中元やお歳暮、葬儀の際の香典など、それは莫大な経費になり、さらに従業員同士も負担になります。「虚礼廃止」という社内文書が配布され、そういったムダなことは今後やめましょう、という規則が出来るそうです。
理解できないこともないです。私もムダなことは大嫌いですから。
年賀状も確かにそうです。印刷屋さんに頼んだ、どこにでもある、ありきたりな内容の年賀状。これは企業間において多いですが、もちろん文面なんていちいち読まないですよね。読むのはどこの会社から来たのかの差出人だけ。これこそ「虚礼」つまり、ココロのこもっていないうわべだけの礼儀に他ならないかもしれません。
うちの会社では、私が代を継いでからは一度もそういった内容の年賀状は作ったことがありません。確かに、印刷屋さんに頼むようなありきたりなデザインの年賀状なら、無くてもいいかなと思えます。メールやSNS系でいいし、会ったときに「明けましておめでとうございます」と挨拶をすれば十分だと思います。
2013年版
新しく立ち上がったHPのトップページを
そのまま年賀状デザインに応用
2014年版
青竹狩りの際に、竹林で撮影
企業間においての関係は様々です。いわゆる取引先において、主従関係いわゆる親会社子会社の関係、そこまで強い絆でなくても仕入れをするような関係、つまり業者や問屋といった取り引きなど多種多様です。私たち花屋からすると、一般のお客様(消費者)と、例えば結婚式場や葬儀場、スーパーなど、大きな仕事を頂けるお客様(親会社)がある訳で、さらに花を仕入れる市場や、その他生花店を維持するために必要なものを仕入れる業者がある訳です。
どこまで年賀状を出すかの判断基準ですが、親会社は当たり前です。たとえ先方が虚礼廃止で来なくなってもうちは今後も出し続けると思います。それは礼儀だけでなく「感謝」の気持ちのひとつだからです。では、うちが仕入れる先に関してはどうかというと、うちが「お客」の立場であるわけですが、基本的には年賀状が来るところにはほぼ出します。いくらこっちがお客の立場とはいえ、その仕入れ先があるからこそ、うちの会社が成り立っているからです。仕事を振ってやってる、とか、物品を買ってやってる、という上から目線的な考えは大きな勘違いであると私は考えます。(まあ、中には売る立場でありながら、「売ってやってる」という意味の分からない高飛車な仕入れ先も存在しますが)
確かに年賀状も、500枚近くにもなると経費がかさみます。なので、今年1月にも書きましたが、
今年最初の衝撃 2015年1月22日 うちがお客の立場であって、先方が「虚礼廃止」をおこなった場合は、こちらからも出すことはやめました。それは非礼ではないと思います。
2015年版
その年のスタッフ一押しをPR
私は、年賀状は、ある意味、お客様に対してアピール出来る絶好の機会ではないかと考えています。「お、この花屋、たかが年賀状に丁寧だな」って思ってもらえないかな、と。あるいは「綺麗な写真だな」と、年始早々癒やされてもらえないかな、と。それだけ時間と経費を費やしています。ここ毎年12月の初旬は、3日3晩は年賀状にかかりきりです。人によっては、それはムダな時間だ、と考えるかもしれません。そのデザインをHPのトップページやブログに載せればいい、と言われるかもしれません。
ただ、年賀状は、ダイレクトにその人(会社)に届くからいいんです。しかもそれが一年の始まりという節目の時だから良いのです。このアナログな感じに少し暖かさがあるから良いのです。
(さすがに手書きの宛名は数が多くて無理なので、PCで全て処理しますが)
千差万別。考えは色々です。私は「虚礼廃止」を否定しているわけではありません。「年賀状」にそこまで力を入れるところはむしろ少数派でしょう。
だからいいんです。人と同じことをやっていたらダメです。思いを込めて丁寧に作った物は、それが花束であれ、年賀状であれ、きっとココロは通じると信じてやみません。(ま、限りなく自己満足の疑いもありますが 笑)
では、次にプライベート(個人)の年賀状はどういうことになるのでしょうか。
・・・・・・これは続く訳ですね・・・・・(汗)