登山は、早出早帰が原則。ましてや、日帰りの場合は下山のことも考えておかないといけません。体力、気力を下山分も残しておかないと。この早月尾根コースは、下山だけでも6時間以上掛かるのです。
「グズグズせずに、やはり予定通りAM4時に出発すべきだったな」
随分後悔しましたが、出発前の不安はなかなかのものだったので、致し方ないです。
PM12時過ぎ。下山開始。
他の登山者の方と話しながら下りていきました。
カニのよこばい
到着。
あれ。こんなとこ登ってきたっけ?
話してきた方に聞きます。
「登るときにこんなところありましたっけ?」
「登るときはここ通らないから」
なるほど。なぜか普通に納得する私。
写真撮っておこうかな。
え?なにここ。
ヤバすぎでない?
先ほどの方は慣れた様子で通っていく。
私が躊躇していると
その方が私に向かって大きな声で、少し強い言い方で
「そこ!! その赤い所に最初の足を置いて!!!」
最初のステップが分かれば、後はそれほど怖さは感じませんでした。
下は絶壁。落ちたらひとたまりもない箇所でした。私に教えてくれた方は、私が無事通れたことを確認するとさっさと先に下りていきました。カッコイイ。私もああなりたいな。
その後、完全に直登の長い階段を下りたところで
突然
私の中で何か、ゾワッとする嫌な感じが・・・・・
ち、違う!!!!
何かが違う!!!
後ろから来た登山者の方に聞きます。
「あの、私、早月から来たんですけど、こっちって間違ってませんか?」
そう。私は下りてはいけないルートにおりてしまった。
早月ピストン(黄色線)のはずが、別山ルート(緑線)の方に間違えてしまった。
とんでもないミスをしてしまったときの、ぞわーーーっという緊張感が全身を走ります。
何となくどういうことかすぐに分かりました。このまま行ったら立山方面に行ってしまいます。立山まで下りてしまったら、どうやって登山口の馬場島まで戻るのか、今日中に帰るのは絶対無理な話。
先ほどの登山者の方、ちょっと焦った様子で
「早月に戻るのは、ここからもう少しおりてから、カニのたてばいで頂上に戻らないと!ここ、一方通行なんで」
(他の方のブログから)
こういうことです。このカニのたてばいが、絶壁をよじ登る、剱岳の難所のひとつ。
そう、私はわざわざ剱岳の2つの難所を行く羽目に・・・・・
生きた心地がしなかった。
いったいどれだけの時間ロスになるのかな・・・
たてばいを見上げ、躊躇せずに取り付きました。もう行くしかない。登るしかない。
このカニのたてばいは、混むときは渋滞するところでもあるのですが、この時はひとっこひとり、誰も居ませんでした。
「焦るな、焦るな」
自分に言い聞かせますが、変な汗と動悸は確実に感じます。
休むことなく、一気に登り切りました。登り切った後、頂上へのルートが分かりにくかったですが、何となく勘で左方面に。
すると目の前に看板が。
私、これを見落としたのか・・・・・
ということより、別山ルートが頂上で交わることが完全に頭から離れてしまっていました。
良く見ると、地図にも書いてあった。
迷 分岐点、見落とし注意。
カニのたてばい
カニのよこばい
コースタイム1時間10分のところを、40分くらいで行って戻ってきたらしい。(後日分かったこと)
13時。まずは無事に戻れたことに少しホッとしながらも、今から下山したら暗くなる前に登山口に着けるのか??
その不安で心が一杯でした。
急登よりも、険しい下りの方が実は危険なのです。
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